「OrDeR:Knife」

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何もなかった。
そう、何もないだけだった。

それは一縷の望み?
人としての価値?
屈しないための力?
いや違う。
形あるものないもの、全て。
灰白が染めるこの地上には。
唯一残されたものといえば、惨たらしい現実。
善良、敬虔、清廉潔白の文字は、今どれにも当てはまらない。

世界は一つ瞬きをする間に、巨大な悪魔たちによって飲み込まれた。
人の心の天秤には、腐り果てた泥が積もり傾く。
どの意味においても「救いようのない」状態だ。

毒沼から脱するには、悪魔たちの首を討ち取る他ない。己の手で。
人間が頼り依存したことによる報復を、真実として受け止め、絶つために。

このナイフで墓石に奴らの名を刻むまで、踵は返さない。


 

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