#乃木メンッ!
□#7
6ページ/9ページ
こんなに覚えていてもらったことが不幸せであったことはこの時以上にない。
あ?なんだそれ、
俺もよく知らねーけどとりあえずアイドルだろ!
まじかよ、アイドル食えんのか笑笑
勝手に盛り上がる下衆どもを前に何をして良いかわからない。
足はすくんで動かず、口は乾いて声が出ない。
ただただ、メンバーのことばかり、頭を巡っていた。
まいやんやななみんならどうするんやろう。
生駒ちゃんならはっきり物申すやろか。
私のせいで乃木坂が、、、
じゃあお前、大人しくついてこれば何にも言わねーでやるからよ笑、いこーぜ笑笑
そう言いながら、中央にいた人物が私の肩に腕を回そうとした時だった。
いった、は?
バチっという音共に、腕が弾き飛ばされる。
『やめてくんない?』
男の人かと思うほど低い声。
でも、どこかに聞き覚えがあった私はすぐ気づいた。
目深に被った帽子の隙間から僅かに見えるその大きな目だけでは、姿を知ることは難しい。
絡んできた輩は男だと思い込んでいる様子だった。
『どっかいけっつってんの』
帽子から僅かにはみ出た襟足。
今まで避けてきた金色が、月に照らされて輝いて見える。
そこには乃木麻衣が立っていた。
.