お題小説
□登校
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毎週木曜日AM10時
2両目の真ん中のドア入って向かいにある2人席の右側。
それが俺のいつもの席で、
今日も、そのいつもの席に、
いつもの様に座ろうと思っていた訳で…。
しかし、電車のドアが開いたら、
そこには、もう3人の高校生が足を大胆に寛げて座っていた。
ていうか…
(何故2人席に3人なんだ…。)
あから様に狭いだろ、と内心ツッコミをいれつつその3人に目をやると、
左から赤、金、青だった。
もちろん、それは彼等の髪の毛の色で。
(信号……。)
これは果たして狙ってやっているのか…。
だとしたら、こいつらは相当のアホだと思う。
俺はそんな信号達に興味が沸き、彼らの前の席に座る事にした。
すっと席に腰を掛けると、
〇podのイヤホンをつけて、音は流さず、3人の会話に耳を傾ける。
これが人間観察が好きな俺の日課。
ご近所でどこの店がお勧めかなどの情報は、こうやっていつも収集している。
え、性格悪いって?
まあ、公衆の面前で喋ってる訳だし。聞いたって、な?
この3人面白そうなネタが出てきそうだし。うわーワクワクする!←誰
そんな事を思いながら3人に目をやると、
丁度話し出した模様だ。
□■□■□■□■□
金「なあなあ聞いたか」
青「何がだよ」
金「今日俺、運気アップするらしいぜ!」
赤「え、うん〇アップ?」
金「ちげーよ、運気!///」
少し照れる金髪。
(何故、照れる……)
青「つかなんで、俺がお前の運気なんて知ってなきゃいけねーんだよ」
金「そりゃ…」
青「はっはーん、まさかお前、正当な理由もなく、俺に運気の話をしたのかよ?ああ?」
金「えぇ!?ちげーよ、そうじゃなくて、えぇと…」
きっと何も考えず言ってしまったんだろう。
考える金髪。
こんな意地悪な質問をする青は俺の頭の中でドS認定された。
金「えぇと、だから〜〜っ」
いやいや、何も言ってないのにその接続詞おかしいって。
金「んと、あ!それはさ、お前に俺の事全部知ってて欲しいからだよ!!」
一同「……………」
ぽかんとしている青。
耳が赤い。
どうやら、照れている様だ。
俺の頭に青は照れ屋が追加された。
赤「何それ!告白!?ぶっ」
赤が思わずそうツッコむと、
自分が何を言ったか分かって、みるみる赤くなっていく金髪。
金「あ、いや、そういう…訳じゃねぇって…あんさ……「あ」」
金髪の手と青髪の手が偶然ぶつかる。
そりゃ、あんなに、密着してりゃあな…。
2人して真っ赤になり下を向く。
何だ、この青春の甘ずっペー感じは!
金「あ、そういやさ!」
青「ん、何だ」
金が雰囲気を払拭するために話し出す。
顔を上げたふたりは赤みが少し収まったようだ。
金「俺さ、
蒼にずっとだまってた事があるんだ、よ…」
(…ごくり。)
もじもじしながら話す金に、一同は静まり返る。
(まさか、朝からこんなリアルBL、生告白を目にすることになるなんて…。)
間近でみる男達のラブロマンス?に俺の心臓は過稼動気味だ。
母ちゃん、案外BLって面白いかもな!
この間はキモいって言ってごめんよっ!
心の中で腐女子な母、摂子に謝る。
そんな中でもリアルBLは進行中だ。
金「あのな…俺、
そのな…実は……
痔なんだ。」
おい。
おいおいおいおい。
まさかの痔?!
金は「しかも切れ痔!」と言い下を向き照れてもじもじしてるし…。
青は下を向き肩をゆらしてる。
もちろん涙なんかじゃなく、
怒りでだ。
ドゴーン
火山が噴火した
かのように俺には見えた。
青は金髪の手を引き、丁度ついた駅から降りて行った。
赤「あーあ、まだ降りる駅じゃねーのに」
そう言い、タバコを含んで、広くなった席にドカンと座る赤。
そんな赤とカチンと目が合う。
赤「そーだ、お兄さん、俺たちどーだった?」
(ま、まさか…。)
赤「俺が気付かないと思った?」
そう言い、ふふっと笑う赤。
こちらに近付いて来る。
赤「俺の名前は赤夜。よろしく。」
いつもの時間
いつもの電車
今日はなんだか、講義に遅れそうな気がする。
》》後書き