頂物

□君が可愛いから…
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秀麗は茶屋の前に居た。

「絳攸様・・・遅いわ。また迷われてるのかしら・・・」

今日は絳攸に誘われて、市へ買い物に行く予定だ。
だから、市の端にある茶屋の前で、と待ち合わせをしてあった。
だが、半刻過ぎても絳攸はこない。
まぁ、時間通りに来るとは思っていなかったが・・・それでもやはり心配だった。
探しに行ってみようか迷っているうちに、人ごみの中に見慣れた色を見つけた。
水色に銀を溶かしたような髪。
絳攸の色だった。
相手もこちらに気付いたのか、一度大きく手を振った。

「秀麗、すまない・・・遅れてしまって・・・」
ばつが悪そうに謝る絳攸を、秀麗は笑って許した。
どこに行きましょうか?と言って、歩き出そうとした秀麗は絳攸がついて来ないことに気付いて歩みを止めた。

「絳攸様?」
いぶかしみながら声を掛けると、絳攸の顔に朱が差していることに気付いた。
ぱっと絳攸の近くに寄って、額に手を当てる。
「え!?な、なんだ。どうした秀麗!///」
急に我に返ったようにわたわたと動く絳攸は、子供のようだった。
「どうしたって、絳攸様のお顔が赤かったから、熱があるんじゃないかと思って・・・」
「え?あ、あぁ・・・これは///」
今日の絳攸は様子がおかしい。
顔は先ほどよりも赤く染まっている。
「具合が悪いなら早めに――」
「ちっ、違うんだ!!」
声を荒げた自分に、きょとんとした視線を送る秀麗をちらっと横目で見る。
「///あ、その・・・だな。」
口元をすらりとした手で覆う。
また更に顔が赤くなる絳攸を、秀麗は本当に心配した。
「顔が、赤いのは・・・今日の秀麗、が・・・か、可愛いからだッッ////」
「!?///」
今度は秀麗が赤くなる番だった。

今日の秀麗はいつもと違う服と髪型。蕾に合わせて、簪もいくつか挿していた。
紅が艶やかにひいてある唇も、朝廷に居る時とは少し違っていて・・・・

「・・・綺麗だったんだ。だから、見とれていた。」
愛しい人に真剣な眼でそういわれて、頬を赤らめない女性がどこにいるだろうか
(そうじゃなくたって絳攸様は美形なんだからっ、免疫ない私としては・・・っ!!)
秀麗の顔は今にも湯気が出そうなほど赤かった。

「よ、よしっ!じゃぁ買い物いくかっ///」
照れ隠しに勢い良くそう言えば、秀麗はまだ頬が赤いものの・・・はい、といって笑った。

しばらく店を回って歩いた頃――

「あ、絳攸様!あっちに良い筆屋さんがあるんですよっ」
さっきの甘い雰囲気はどこへやら・・・
折角の買い物だというのに、立ち寄る店が筆屋・・・。
絳攸は苦笑いした。
(でもそれも、俺たちらしいのかもしれないな・・・)
ちょっと微笑んで、秀麗の後に続いた。

「絳攸様!こっちです。――きゃぁっ」
大きく手を振っていた秀麗の姿がぱっと消える。
「秀麗!?」
急いで近くへ寄ってみると、ぶつかったのだろう。
秀麗の目の前に大男が立っていた。

「オイオイじょーちゃん。気ぃ付けろや。」
「す、すみません!」
道に座り込んだまま、ぺこりと頭を下げる秀麗の花簪に目を留めた大男は、急に態度を変えた。
「いててててて・・・あぁこりゃー痛ぇ」
秀麗の傍にいた絳攸は急に痛がりだした大男に冷たい目を向けた。
「なんだ。急にどうした」
絶対零度の声にも怯まない(いや、気付いていないだけか)大男は、腕を押さえながら
「いや、さっきじょーちゃんがぶつかってきたときにさ、腕をおかしくしたらしい」
苦痛で歪めている、という表情を作ろうとしているらしいが、にやけた笑いが隠しきれていない。
絳攸は更に冷たい視線を送った。
「だからどうした。」
へへへ、と大男はいやらしい笑みを浮かべた。
「医者に行かなきゃなんねぇから、金が必要だ。・・・じょーちゃんの簪でいいぜ。」
「えっ!」
立ちあがって服に着いた砂を払っていた秀麗は困惑した。
蕾の簪は王から下賜されたものだし、他の簪だって、今日のためにと、胡蝶がくれたものだったのだ。どれかひとつでもあげることなんて出来ない。
返答に迷った秀麗の横から絳攸がずいっと前に出て、秀麗を庇うように背中にやった。

「ふざけるな。」
その声は、血が繋がっていなくても、氷の長官吏部尚書を思い出させた。
大男は今度こそ固まった。
「お前は誰に向かってさっきから口を利いているんだ。」
「だ、だれって・・・そこのじょーちゃ・・・」
カッと絳攸の目が見開かれた。
「そんな風に気安く呼ぶな!この娘は藍家に次ぐ名門、紅家直系長姫だ。更に、王の寵愛を受け、花を下賜された身。この娘になにかしようものならば、紅家のみならず、王さえも敵に回すぞ。」
ごくっと息を呑む音がした。
大男はようやく、誰を敵に回したか気付いたのだ。
「今ならまだ許してやる。とっとと失せろ!」
くるりと踵を返して大男は逃げていった。

「ふん。・・・ああいう馬鹿な男がいるんだ。だから気をつけろ」
振り向いて少し乱れていた秀麗の髪を梳きやって戻してやる。
「はい・・・すみませんでした。でも・・・」
でも?と絳攸は聞き返す。
「絳攸様のとてもカッコ良いところが見れたので、ちょっと嬉しかったんです」
はにかみながらそういう秀麗が可愛くて、折角カッコ良く決めたのに絳攸の顔はまた赤くなっていた。
「ばっ、馬鹿かっ!俺はもう二度とごめんだからなっ。」
くすくすと笑って、そうですね。と答えた秀麗の前に、絳攸の手が差し出される。
きょとんと、手と絳攸とを見比べる秀麗に、絳攸はぶっきらぼうに言った。
「また誰かにぶつかられたら嫌だからなっ。それに、こうしていれば逸れないだろ!」
そっぽを向いている絳攸が耳まで赤くしてそう言ってくれるのが嬉しくて、秀麗はにっこりと笑顔になった。
「はいっ。これからは気をつけますから、ずっと、手を繋いでいて下さいますか?///」
隣に並んだ絳攸の顔を覗き込みながら訪ねると、ちょっと驚いた顔のあとに、満面の笑みが零れた。

「もちろん。放す気はないからな。」

さらりと言われた言葉に、秀麗は真っ赤になった。
天然絳攸の、こんなところが凄いと秀麗はいつも思っている。

(やっぱり絳攸様には敵わないわ・・・///)






すみませんm(_ _)m←開口一番ソレ
そめこさぁぁぁん(泣
こんな駄文でよかったでしょうか!?カッコよくて可愛い絳攸になっているでしょうか!?
もしよろしければ貰ってやってください><
ふつつか者ですが・・・←違う
8000HITありがとうございましたっ!!
タイトルセンスがないのはユルシテクダサイ・・・・死


=御礼=
ありがとうございました!
こういうセリフ、言わせてみたいですよね!
絳攸、秀麗の前じゃかわいいけど、かっこいいとこ見せられてちょっと安心してるんじゃないかと想像します。

ありがとうございました!


ジン様。
サイト:THINK of ME

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