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□僕と詐欺師とクリスマス
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「気付いた?」
「え、何?」
「ケーキ、俺が作ったんよ」
「はぁあ!?」
「…それ、まじで言ってんの?」
「ああ、まじまじ、って氷帝の芥川みたいやな」
「……」
騙された。最悪だ。
仁王のケーキが天才的に美味かったのも悔しいし、にやりと笑う仁王も憎たらしい。
きっと俺は最高に驚いた顔をしてしまったに違いない。
…あー、もう!
「うまかった?初めて作ってみたんやけど」
「…え、初めて?」
「うん、初めては丸井にと思って」
「変な言い回しすんな」
「うーわ、丸井エロ〜」
「…うるせー、色魔詐欺師に言われたくねぇ」
「色魔詐欺師って…」
初めてって…。こんなにおいしく作れるなんて、少し(いや、かなり)悔しい。俺が初めて作ったときなんて散々だったのに。
あー、それにしてもすっかり騙された。だって、箱もマークもそのまんまだったし。
ん?箱とマーク?
「お前、箱は?」
「あー、作った」
「作った、って」
「なかなか上出来やろ、それ。時間かかったんよ〜」
「…お前、ばっかだな!」
はははっと声をあげて笑った。
騙された悔しさよりも、仁王が一生懸命ケーキを作ってる姿とか、箱を作ってる姿とかを想像すると、あまりの馬鹿さに愛しさが込み上げる。
「そんな笑わんでも」
「だって、お前馬鹿なんだもん」
「ブン太が欲しかっただけじゃ」
ああもう、だからこの詐欺師は質が悪い。今だって、してやったりって嬉しそうな顔しちゃってさ。
でも、悔しいけれど、たまにはペテンにひっかかってやるよ。
お前なんか大好きだから。
あいかわらず、雪は降り続けていて、寒いったらありゃしない。だけど、帰りたいなんて微塵も思わなくて。
ずっと仁王といたいとか思っちゃうあたり、俺は完璧に詐欺師に騙されているのかもしれない。
「へっくしゅ!」
「あー、寒いしそろそろ帰るか」
「えー!もう帰んのかよ」
「…帰るよ。もちろん、俺んちに」
「……そうこなっくちゃ」
俺の左手には仁王の作ったケーキ。右手には仁王の左手。
仁王の左手には、俺とお揃いの指輪。
サンタさん、来年のプレゼントも最高のペテンをよろしく。
END
メリークリスマス〜☆
何日かすぎてしまいましたが、そこは気にしない方向で!
クリームを舐める仁王と欲しいのは俺だろぃと言うブン太が書きたくて、出来上がった代物です。
色々と物語がわけわかんなくなってたり、柳生が妹の世話してたり、ある意味大爆笑なわけですが、そこは大目に見てください。
なにげに、ブン←赤也っぽくしてみました。
そっちの話もいつかかけたらいいな。
指輪を洗うのをすっかり忘れて、すぐに錆びちゃったりして。可愛いですね〜、中学生。では。
2007/12/28 咲良