アンジェリーク
□愛しい女王
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「ありがとう、エルダ」
ふわりと温かい手が、頬に触れた。
「私を、選んでくれて」
ぎゅっと胸が切なくなる。
自分が意識を持った頃から、ずっと側に寄り添っていた少女。
自分が選んだ、創世の女王。
自分が愛した、栗色の少女。
―――もう彼女のサクリアは消えようとしていた。
新たな、時代の女王が選ばれる時がきたのだ。
「……我が女王陛下。どうかアルフォンシアとお呼び下さい…。これは貴女が私にくれた名前」
愛してた
愛している
(私の、ただ一人の女王)
「……さようなら…、アルフォンシア…」
愛しい愛しい、アンジェリーク。
「女王よ、助けを求めて下さい」
エルダの言葉に、ティエン・シーは顔を上げた。
「もっとも強く、もっとも光り輝いた――創世の女王に」
アンジェリーク・コレットに――。
END