「奈留実は何買うの?」
「えー・・・、あたしは、お父さんのプレゼントと、ネコのエサ」
事故に遭い三年前から
植物状態のお父さんのことを
琴也も知っている
意味がないことをするよなー
とか琴也は間違っても言ったりしないし
思ったりもしない
気を遣いすぎないし
私がそういうのが
苦手だってわかってくれてるからイイ
そこは昔から全く変わってない
お父さんが好きなのは
松田聖子とラッキーストライク
<等身大の視点が魅力的>
奈留美と琴也はお互い気の使わない存在。奈留美には彼氏もいるけど、琴也の存在はどこか特別。
クリスマスイヴに二人はそろってジャスコに買い物へ行く(笑)
まず、作者様が中学生なのですが、主人公とかぶって見えてきてしまいます。
お父さんが松田聖子が好きというところが妙にリアル。
ところどころの描写もリアルではっとさせられます。
この二人がすぐ近所に住んでいるような錯覚に陥りました。
水の精の愛称をつけさせて頂いたのですが、会話のテンポを自在に操り、様々な視点で書かれた作品は新鮮で流れる水のような感じがしました。
父親が植物状態でかわいそうな背景のはずなのに、奈留美はたくましく、生き生きとしていて、どこかユーモラス。その姿にこちらが元気付けられます。
そして琴也のさりげない優しさや気遣いがとても心地よく、繊細な思春期の男の子に仕上がっています。
小物使いも、話の運びも独特のセンスがあり、これからの作品も楽しみな作者様です。
庶民的で、気さくで、きっときもったま母さんになるんじゃないかと思わせる奈留美と繊細で少し背伸びをしている琴也がつきあっちゃえばいいのになあなどと勝手に思わせてくれるほど、魅力的なキャラクター、そして思わず吹き出してしまいそうなリアルな会話を是非お楽しみ下さい。
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