短編

□ただ君が来てくれることを祈りながら
1ページ/1ページ




彼女と喧嘩した
いや、今、している



原因は、俺の浮気



別にマジで浮気してるつもりじゃなかった


俺の1番はいつだってあいつだったし、最終的にはあいつのもとへ帰るから


あいつも笑顔で俺を受け入れてくれるから安心してた


けど、あいつは無理してたらしい


現に今、泣いている

俺の、目の前で





「慎吾は…私一人に縛られるような人じゃない」


「不特定多数の女の子と遊びたいなら、私は邪魔なだけだよ」







あぁ
その続きは言わないで

嫌な予感がするんだ

君からは絶対に聞きたくない言葉




「…さよなら」






予感的中








地獄に堕ちた気分だ

目の前が真っ暗になって、俺はその場に立ち尽くすしか出来なかった


彼女はいつのまにかいなくなっていて、初めて失ったのだと実感した








「…俺のせいだろうがッ」






そうだ、すべては俺のせい
俺が悲しむ権利などないんだ

なのに



「なんで泣いてんだよ俺…ッ」







これはあいつをずっとずっと苦しめてきた俺への罰

あいつはもっと苦しかったはず













でも、諦められなくて
諦められるわけがなくて


初めて本気になった恋だから

だったらなんで大事にしてやらなかったのかって話だけど

俺はバカだから、
失って初めて大切さに気付くんだ









俺は彼女にメールをうった












"本当にごめん。おまえにたくさん辛い思いさせた。
反省してる。

許してくれなんて言わないから。

俺、これからおまえ以外の女なんて相手にしねぇ。
これからはちゃんとするよ。

もしまだ少しでもおまえの気持ちが俺にあるのなら、やり直そう。
次は絶対悲しませない。約束する。

その気があれば、明日の午後9時、いつもの公園に来て欲しい。待ってる。"







はたして彼女は来てくれるのか
もう愛想が尽きてしまったか






それは明日になればわかること







ただ君が来てくれることを祈りながら

(今日は眠れない夜を過ごすのだろう)














続きます


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ