□そら
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晴れたる空は

酷く静かに、澄みわたる





その下にいるときは、

まるで、
貴方に抱かれているよう




ゆるく、やさしく、
おおきな貴方に。






おれは、そんな貴方に
守られている。



空のように、静かに
蒼い貴方の心に。





















***











いつもと同じ毎日をなんとなくだらだら過ごす。

変化のない、毎日。

昨日と同じ、今日。

今日と同じ、明日。



永遠に続いてしまいそうな錯覚に陥いる。

そんなの、








有り得ないのに。



永遠に続くもの、なんて

あるわけない。





こんな風に、
一緒にいられる毎日なんてあとほんの数年しか、
続かない。


どんなにあがいても、世間というものの流れからは、逃れることは出来ない。


だって、そうでしょ?







おれたちは、

普通じゃ、ないんだし。










お前に好きと言われ、

お前が好きと気付き、



たくさん泣いた。
たくさん笑った。



お前にはいっぱい、

大きくて、優しくて、
あったかい。

そんな愛を、もらった。







ずっと、一人で過ごしていた日々が急に眩しく、楽しくなった。
同じ、日々が、
暖かくて、優しくて。


なくしたときのことを考えるだけで、体がばらばらに砕け散ってしまいそう。

そのたびに泣いて、不安になって。










でも、
お前はいつも言うんだ。



「俺は、お前のそばを離れないから。」






だから、安心しろ。


って。








滅多に笑わない、その顔に滅茶苦茶に格好良い笑顔を浮かべて、また、優しく
抱き締めて、くれるんだ。


何度、
お前の、その表情、声、
力、心、いや、
全てに救われて来たんだろう。


おれの、きっとたいした価値も持たない、命だけでなく、心まで、お前は綺麗にすくいあげてくれた。







流した涙の量は、わからないけど、


一人のときには誰も拭ってくれなかった、冷たい涙をお前がその手で、乾かしてくれた。








変われたんだ。
なんの変化のなかった、
つまらない、おれの毎日がお前のお陰で。




白黒映画を見ていた頃の、おれじゃない。


お前が、おれの瞳に
色をくれた。










だから、



空が、蒼いってことも
知ることができた。






こんなにも空は、
澄んでいたのに。


おれは、知らなかった。






繋いだ人の手は、
こんなにも暖かいことさえ知らなかった。







みんな、お前がくれた。






お前が、
気付かせてくれた。


























***



雨上がりの空は、

雨が空の汚れを
洗い流していくから、


きらきら光って

とても、綺麗。




太陽が、輝けるのも

月が、照らせるのも



みんな、空があるから。








おれが、生きていけるのも何もかも、


お前がいてくれるから。


























晴れたる空は

どんなときでも

ただ静かに

そばにある。










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