□雨を喜ぶ
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大学生になって本屋でバイトを始めた。

漫画は読むけど、別に本が好きなわけじゃない。

それでも、本屋でのバイトは落ち着いていたし楽しいと思った。そんなこんなで、バイトは半年続いて殆ど業務も覚えて、店主のおじいちゃんとはだいぶ仲良くなったし、常連さんの顔も覚えた。


雨の日には、こんなお客さんがくる。



その人は活字本のコーナーにはいかない。きまって雑誌コーナーかコミックコーナー。立ち読みはしない。ジャンプが好き、らしい‥ということ。



目立つ髪の色で自動ドアが開いて入って来ると直ぐに目で追ってしまう。気になる存在。



レシートは要らない


と言う時の声には大したことでないのにドキドキするし、バイトがあって、雨が降っている日には妙に落ち着かなかった。



もしかして、好きなのかもしれない。






今日も雨が降っている。









自動ドアが開いた。






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