荊姫*冬眠中

□荊姫1
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あなたを愛してしまった代償、

荊道




「…暑い」

じっとりとした暑さには、永遠に慣れないだろう。そしてこの独特な虫の鳴き声は、更に人を追い詰める。

神聖ブリタニア帝国第三皇女であるルルーシュは、逃げるようにここエリア11にやってきたばかりだ。

自らを戒める為に
わざわざこんな治安の悪い国にきた。

ルルーシュはエリア11の副総督に任命された。
副総督は本来、皇位継承権や能力が低い皇族のためにある。
だから副総督は政務というより寧ろ、それぞれ趣味を極める為にあるようなものだ。
ルルーシュは劣腹の生まれであるものの、類い希な能力により高い皇位継承権を維持してきた。
そんなルルーシュが副総督に任命されたことは、多くの兄弟姉妹にとっては驚くべきことだった。
優秀な皇女が、わずか15歳でエリアに行くのは前例がなかったからだ。

しかしルルーシュにとっては、これが望みだった。
治安の悪いエリアに行けば、暇である副総督にもかなりの政務が求められる。
趣味のないルルーシュにとって、忙しいことは喜びだった。

そして、学位は取っているものの、ルルーシュには身分を隠して学校に行ってみたいという夢があった。

全てにおいて、このエリアの副総督がぴったりだった。

全てを捨てて、ブリタニアから離れたい。

「この気持ちを…忘れるために」
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