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□存在が変わった時
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「…る……馨!」




いつの間にか、眠っていたらしい






「……ん…」





活動を始めたばかりの頭の中は周りの状況を瞬時に把握できるほど機能していなくて、


四時限目の授業が終了し、一般の生徒なら学食に移動し始めている時間だということを理解するのに少し時間が掛かった




「馨!どうしたんだよ…顰めた顔して寝てたから心配した……」


顔を上げるとそこには『もう一人の僕』である光がいて




「珍しいね馨が居眠りなんて…現代文、得意科目でしょ?」


その隣には不思議そうに僕を見下ろすハルヒがいて







最近夢にまで出てくるようになったあのことを考えていて、疲れて眠ってしまっただなんて、もちろんそんなこと口にできるわけなくて









「…馨?」


しばらくの間黙り込み、ボーッとしていた僕を心配したのか光が僕の顔を覗き込んでくる



「………」


「………」





「……かお「あはは☆  寝ちゃってた?」








光の言葉を遮って、僕は何事もなかったかのように笑ってみせた









こんな風に明るく振る舞って誤魔化すことしかできない僕は弱くて



光に嘘をついてるみたいで………







嫌だった……





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