彼女の言うことには

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ローブを脱いだ姿でバスケ部の試合を見に行ったことがある。
キセキの世代と呼ばれる彼らの試合は確かに他の中学生
のバスケチームよりも強いし、すごかった。けれどとてもつまらない試合で
第一クォーターが終わる前に帰らせてもらった。


「おい」


「はい?」


「そのクマを俺に貸してくれないか」


「え?」


朝、下駄箱にスニーカーを入れていると真ちゃんにそんなことを言われた。


「えっと〜何でですか〜?」


「今日のラッキーアイテムがクマのぬいぐるみだったのだよ」


「真ちゃん持ってないんですか〜」


「持っていないからお前に頼んでいる」


「他に女子の友達いないんですか〜いないでしょうねぇ」


「お前…」


『はいどーぞ』と倫太郎さんを真ちゃんに差し出し
私は教室に向かった。

今日は倫太郎さんが活躍する授業はないし、貸すくらい
どーってことない。ただ心配なことが一つだけある。
真ちゃんがバスケ部ということ…。


「無事だといいけど」


******
緑間side

今日の蟹座のラッキーアイテムはクマのぬいぐるみ。
持っていないわけではなかったが背中にファスナーのあるクマだった。
男がファンシーショップに何度も行くなんて羞恥以外の
なにものでもない。
紫原が真白木の持っているクマには背中にファスナーが付いていると
言っていたのを思い出し真白木に貸してほしいと頼んだ。

ぬいぐるみに名前を付けるほどなのだから余程大事にしているのだろうから
簡単には貸してはもらえまいと思っていたがあっさりと差し出した。


「緑間、それ真白木のクマじゃねぇか」


「ホントだー倫太郎じゃん」


「…今日のラッキーアイテムなのだよ」


「緑間っち…いくらラッキーアイテムが欲しかったからって乱暴はいけないっス」


「何故そうなるのだよ、ちゃんと真白木の許可は貰っている」


昼休み、バスケ部メンバーで昼食を取るのが常だ。
今日も例外ではなく食べていたわけだがやはり真白木と
関わってる奴らが多いので俺が側に置いているクマの
ぬいぐるみが彼女のものだとすぐにバレてしまった。


「あれーミドチンクマのぬいぐるみ持ってなかったっけ?左手に包帯巻いてんの」


「あーあれなぁ…プ」


「青峰…何がおかしい」


「いや…クックッ」


「黒子っち、雪っちは倫太郎なくて元気なかったんじゃないっスか?」
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