彼女の言うことには

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「真白木っ頼む!!」


夏休みに入る少し前、1年B組にいる雪乃にバスケ部
2年の日向順平が頭を下げていた。


「試食会?何のですか〜?」


「いやだから合宿メニューの。聞いてなかったのかよ」


「合宿ですか〜頑張ってくださいね〜」


席を立ち教室から出ようとする雪乃の腕を日向が
掴んで『頼むよ』と頭を下げる。


「先輩必死すぎますよ」


「必死にもなるっつーの死活問題なんだからな」


「まあ試食会で料理作るのはいいですけど何で私に頼むんですか?他の女子とか友人とかに頼めばいいじゃないですか」


「身近に暇そうなのお前ぐらいしか思いつかなかった」


「バスケ部ぶっ潰す」


「わわわ悪かった!だから料理作ってくれ」


******


休日の家庭科室。黒板には合宿メニュー試食会と大きく書かれていた。
エプロンに三角巾姿の相田リコがキッチンに立って料理を作っていた。
用意された物を見る限り合宿にはオーソドックスなカレーだろう。


「おい真白木お前料理出来んのか?」


「…」


「出来るからここにいるんでしょう」


「…」


「おい真白木どうなんだよ?」


「…」


「黙ってないで何とか…」


「やめろ火神!真白木様はすこぶる機嫌が悪い」


「オーラで人殺せそうですもんね」


「先輩、後輩に様付けって」


「バカ野郎!彼女は救世主様かもしれないんだぞ」


そんなやり取りをこそこそしていると出来あがったカレーは
とてもカレーとは言える代物ではなかった。
見た目はともかく味は大丈夫だというリコの言葉に盛られたカレーを
一口食べる部員達。


「すいません」


「どうしたの雪乃ちゃん」


「私食べたくありません」


「「「(直球ドストレート!!)」」」


落ち込むリコを見て日向がカレーを完食し少し辛かったから
飲み物を買ってくると家庭科室を出て行き、木吉が優しい言葉を掛ける。

しかしマズイものはマズイ訳で教室を出て行った日向は
廊下で倒れ、木吉は変な汗を大量に流し、水戸部は気を失っていた。
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