彼女の言うことには
□33
1ページ/3ページ
「ねぇねぇ征ちゃん」
「何だい雪乃?」
「あのね〜バスケ部のみんなが言ってたんですけど〜
征ちゃんは僕に逆らうなとか僕の言うことは絶対だとか
逆らう奴はオヤコロとかイタイ奴なのに私にはすごい甘いって言ってました」
「あの人たちが言ってたのか?覚悟は出来てるんだろうな」
征ちゃんがシャキシャキと鋏を動かしていた。
「でも〜本当のことですよね〜征ちゃん私に従わせようとして来なくなったし、なんか〜今の征ちゃんは好きかなぁ」
「そ、そうか」
「ん〜」
征ちゃんは相変わらず威圧感たっぶりだから人はあまり
近づいてこないし、僕に逆らうな、僕の言うことは絶対、そんなんだから
話しかけられもしないしテツ君達がいなかったらぼっち。
「雪乃…あ、あのだな…」
「あ〜そうだ〜。征ちゃんに聞きたいことがあるんです〜」
「僕に聞きたいこと?」
「はい〜」
私は宇佐美さんの中からボタンを取りだし征ちゃんの机に置く。
「なんだい?このボタン」
「もしこのボタンを押したら貴方は巨万の富と名声を手に入れられます。
しかし押してしまえば人類は滅亡します。さて、貴方ならどうしますか?」
「巨万の富と名声?そんな物僕には必要ない、僕は自分の力で二つとも手に入れるからね」
「ふ〜ん…じゃあ押さないんですね?」
「ああ、押したら人類が滅亡してしまうんだろう?」
「うん、大きなカボチャに押しつぶされて全人類が死んじゃうの」
「人類が滅亡しようとしなかろうと僕には関係ないが全人類となれば押すわけにはいかない」
「何でですか〜?」
「…バスケが出来なくなる」
「それって少しの人類は死んでもいいってこと?」
「構わない。必要な犠牲だったのなら」
征ちゃんらしい答えだな〜と思いながらボタンを持って
テツ君の所へ移動する。
「テツく〜ん」
読んでいた本に栞を挟んで『どうしたんですか?』と顔を上げた。
私は机に先程のボタンを置く。
「あの、何ですかこれ?」
「ボタン〜プッシュプッシュ〜」
「押せばいいんですか?」
「ノーノ―ノー。質問に答えて押すか決めてくださ〜い」
「わかりました」