02/07の日記

21:27
『神様help!』82
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※日番谷視点




松本の言葉に俺は咄嗟に思った。
黒崎を誰にも盗られたくない。
でも、素直に折れることも出来ない。
自分の性格がこういう時は本当に疎ましい。

素直になれたら――


「あ!噂をすればですね。追い掛けて来たようですよ」


黒崎、と言う松本の言葉と同時に、俺も彼奴の霊圧を感じた。
相変わらず馬鹿に大きい。
けれど暖かく包み込むような……

其れは真っ直ぐに此方に向かって来ていて。

何故だろう?
急に泣きたくなった。
嬉しさが胸に込み上げてくる。
逢いに来てくれた、そう思うだけで。
矢張り俺は、黒崎が好きなんだと思い知る。

でも――

そして、執務室の扉がからり、と開いた。
其処から橙色の髪がそろそろと覗かせているのが見える。


「……あの、冬獅郎は?」


松本に訊いているらしい声がした。
どうやら黒崎からは俺が見えないらしい。
まあ、奥だからな。
咄嗟に何故だか俺は身を隠そうと思い立ち、窓枠に足をかけ身を乗り出した。


「居るわよ。中にいらっしゃい」

「ちょ、松本離せ」


逃げようとした俺の首を捕まえ、松本が黒崎を中に招く。
じたばたと暴れてみたが、松本は手を離してはくれなかった。


「無駄な足掻きは止して、ちゃんと黒崎と話して下さいね、隊長」

「うるさ……」

「……何、やってるんすか?」


と、其処へ奥に入って来た黒崎が俺達を見て呆然とした様子で尋ねてきた。


「………黒崎」


しまった、逃げ損ねた!


「何でも無いのよ、黒崎。じゃ、あたしは消えますから後は二人でどうぞ!」

「うわっ!」


俺を床に落とし、松本はすたすたと扉へ向かった。


「松本、待て!仕事サボるんじゃねぇ!!」


つか、黒崎と二人きりにするんじゃねぇっ!

という、俺の心の叫びなど彼奴に届く筈もなく、松本はにっこりと笑って執務室から出て行った。


「……冬獅郎」


そして、執務室には俺と黒崎の二人きり。


「く、くろさき……」





続く

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