02/08の日記
23:17
『神様help!』83
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※日番谷視点
「大丈夫か?」
「あ、ああ……」
松本に放り投げられ、床に座り込んでいた俺は、黒崎が差し出した手を取り立ち上がった。
軽く叩いて、死覇装に付いた埃を払う。
逃げ出したい。
そう、思うのだが、俺は動けないでいた。
見上げた黒崎の表情に釘付けになる。
余りにも真剣で、泣きそうで。
つい先程まで、俺の中に在った黒崎への怒りが一気に消え失せてしまった。
「冬獅郎……」
黒崎の声が俺の名を紡ぐ。
「な、何だ?」
俺は黒崎の言葉を待った。
長い沈黙が俺達の間を包む。
ごく、と思わず生唾を呑み込んでしまった音が酷く執務室に響いた。
「あの、さ……」
俺が出した其の音を契機に、黒崎が再び口を開く。
黒崎は瞳を右に動かした後、下を見詰めそして、意を決したように俺を視た。
「明後日って何の日か冬獅郎、知ってるか?」
「明後日?」
明後日と言うと二十四日だよな?と訊けば。
そう、と黒崎が頷く。
明後日か……
「否、知らない……」
考えても判らなかったから、正直に答えると、其れは黒崎の中で想像出来ていたのか、小さく笑みを浮かべて頷く。
「うん。十二月二十四日はクリスマスイブって言ってさ……現世の、オレ達の国じゃさ、恋人達のイベントなんだ」
「え……?」
恋人のって……
「其れ、……」
「取り敢えず聞いてくれねーか」
こくり。
俺の言葉を遮った黒崎の言葉に頷く。
「さんきゅ」
それから黒崎は深く息を吸って、吐いて。
「だから、オレ……その日は冬獅郎と一緒に過ごしたい、んだ」
そして、突然頭を下げた。
「さっきはゴメン!冬獅郎の気持ち、無視したような事言って。いきなり冬獅郎がその……まさかオレのこと好きだなんて思ってなかったから……」
「――っ!」
黒崎がそう言った途端、顔に熱が集まるのを感じた。
好きとか言うな!
恥ずかしい!
思わず叫びそうになったが、ぐっと我慢した。
其れは事実だから。
見れば、黒崎の顔も真っ赤に染まっている。
きっと俺の顔も同じ位紅いのだろう。
続く
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