02/11の日記

21:38
『神様help!』85
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※日番谷視点





「あら?もう帰っちゃったんですか?黒崎」


黒崎と入れ代わるようにして、松本が執務室に戻って来た。

この時機……

余りの時機の良さに、俺は内心首を捻ったが、その事には触れず「ああ」とだけ頷く。


「で、如何するんです?」


………やっぱり此奴、盗み聞きしてやがった。

松本の言葉に俺は確信した。
しかし矢張、俺は何も言わなかった。
代わりに机に戻ると溜まった書類を片付け始める。


「隊長?」

「さあな」

「さあな、て黒崎の処へ行かないつもりですか?」


松本が語気を荒くして言う。


「何方にしても。俺、明後日は仕事だしな」

「そんなの……」

「それに、今日仕事をさぼってしまったからな。明後日もさぼる訳にはいかない、だろう?」

「………じゃあ、諦めるんですか?黒崎のこと」

「………………さあな」


それだけ答えて、俺は再び書類に視線を落とした。
此の話は此れで終わりだ、という俺の合図。
其れを精確に読み取った松本は、其れ以上何も言わず溜息を一つだけ吐くと、彼女もまた机に就いた。

部屋に重い沈黙が横倒る。

暫くそのまま仕事を続けていた俺は、ふと顔を上げた。
松本は珍しく大人しく未だ仕事を続けている。
俺は視線を動かし、窓を見遣った。
陽が傾いて、空を朱に染めている。
其の色にふと、黒崎を想い出した。


其の時、俺の心に湧き上がった感情は――…





続く

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