02/15の日記

23:25
『神様help!』86
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12月24日――


約束の日。
終業式を終え、オレは無理矢理冬獅郎に押し付けた約束通り、クレープ屋の前で冬獅郎を待っていた。

冬獅郎は――まだ来ない。

でもオレはもう、それで慌てたり恐くなったりはしなかった。

だって、知ったから。
冬獅郎もオレと『同じ』だ、て。
オレが冬獅郎の一挙手一投足にドキドキするのと『同じ』ように、冬獅郎もオレにドキドキしてくれていたんだってこと。
身体中にまだ残る痛みがオレに教えてくれる。

だから、怖くない。


――くしゅん


くしゃみが出た。
ずず、と鼻を啜りオレは手に持っていた缶コーヒーのプルタブを持ち上げ、一口飲んだ。
温かいコーヒーが喉を通って、身体の芯を暖める。
はぁ、と一息を吐く。
吐いた息が白く立ち上って、消えた。
ずず、とまた鼻を啜り上げる。

今日は、かなり冷えるな……

もしかしたら、と思ったオレの鼻先を白い物が掠め通った。

ああ、やっぱり……

空を見上げると、次から次へと雪が舞い落ちていた。


冬獅郎……


白い淡雪が、待ち人を彷彿とさせる。
逢いたい、と強く想った。

大丈夫。
冬獅郎は必ず来てくれる。
……………………………と、思う。

いや、大丈夫だ。
まだオレは待てる!


「――黒崎」


と、その時。
オレを呼ぶ声が聴こえた。
と同時に、オレの心臓が強く厳しく脈打つ。
条件反射のように。
その声に反応する。
いや、心臓だけじゃない。
オレの全身が、反応するんだ。
顔がにやけるのをオレは感じながら、深呼吸を一つして。
ゆっくりと声がした方向を振り返る。
それから、オレも呼んだ。


「――冬獅郎」


と。
そして、オレは雪のように柔らかな温もりを胸にそっと抱き込んだのだった。





終わり

今週のジャンプの展開が展開だっただけに、親の仇(?)を取るべく当初考えていた話よりちょっとだけ甘くしました。
お付き合いありがとうございましたm(_ _)m


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