04/08の日記

22:01
『DAYBREAK'S BELL』1
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少年は空を見ていた。


そよぐ風が少年の白晢の頬を撫でていく。


ちりん


風に揺られ、鈴の音が鳴った。


ちりん


少年は空から自身の帯に視線を落とす。


ちりん


其れは鈴と宝石が付いた小さな根付。
宝石は琥珀。
鈴と紐の色は橙の。


「…………」


少年は口の中で呟く。


ちりん


風が再び鈴を鳴らす。


「隊長ーー」


と。
風と共に少年を喚ぶ女性の声が混ざった。


「こんな所にいらしたんですか。もうすぐ時間ですよ」

「……分かった。今、行く」


女性の言葉に少年は頷く。
が、彼女を振り返りはしない。
一度も。
背中を向けた儘の少年に女性は息を一つ、落とし「先に行ってますね……」と言い残し踵を返す。
少年を憂いながら。

最近――精確には『あの日』から。
少年は独りで居ることが多くなった。
独りで、思い詰めたように空を睨むことが。

『彼』が消えていった空を。

しかし、彼女には想うことしか出来ない。
その事が歯痒くて。

さあ、と風が吹いた。


ちりん、ちりん


少年は立ち上がりもう一度空を見上げた。
風に少年の銀の髪が揺れる。


ちりん


鈴が鳴る。


其れはまるで――
始まりを告げる『鐘』のように。





続く

折角なので番外編のネタを使ってみました。
本当は前作最後で使うつもりだったのをうっかり忘れ…げふんげふん

という訳で始まります。皆様、注意事項をご覧頂いた上でお付き合い下さいませ。
話は原作に沿う予定ですが、細かい所は違います。その辺は雰囲気で読んで下さい。
因みにタイトルは前作がラ○クでしたので、今回も合わせてラ○クにしました。『00』のOPだったヤツです。


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