04/13の日記
22:26
『DAYBREAK'S BELL』6
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「一つ、訊いても好いかい?」
爺さん、と京楽が気安い態度で山本に話し掛ける声が聴こえ、日番谷は宙空から彼に視線を移した。
「許す。申してみよ」
「さっき涅隊長はこう言ったよね。『二体の破面が現れた場所は空座町』だ、て」
そう言って、京楽は涅を見遣った。
「間違い無いヨ」
涅が頷いたのに頷き返して、話を続ける。
「この間のも空座町。そして今日のも空座町。此れは只の偶然なのかい?それとも――…」
「うむ。実は今日、皆に集まって貰ったのは其の事についてである」
京楽の言葉を引き継ぎ、山本が語る。
「先ず、先程の京楽隊長の質問なのぢゃが――」
其処で山本は一旦言葉を切り、皆を見回した。
続く言葉を待っている彼等の視線が山本の一点に集まる。
「答えは――『判らぬ』」
「なっ……!」
思いもよらぬ答えに、場に居る内の誰かが声を上げた。
が、咎める者は居なかった。
此の場に居る誰もが同じ思いであったから。
判らぬ。
そう、彼は言って退けたのである。
一層清々しいまでに瞭然と。
張り詰めていた緊張の糸が切れ、一気に緩む。
しかし、すかさず山本が口を開き、緩んだ空気を引き締める。
「現在、其等を含む藍染の目的については、浮竹隊長に調査の任に就いて貰っておる。何か判り次第、皆に報告するので其れまで待たれよ。浮竹隊長は調査の方を急ぐように」
「御意」
浮竹が頷く。
「さて、此処からが本番であるが。藍染の目的は現在のところ不明ぢゃ。ぢゃが、空座町に執着している事は明らかである。空座町が狙われていると判っていて、死神代行黒崎一護や仲間達、並びに浦原喜助等だけに護らせておく訳にも、みすみす手を拱いている訳にもいかぬ。そこで、ぢゃ」
――カン
杖が鳴った。
「先遣隊として何名か空座町に派遣しようと思う」
続く
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