04/30の日記

11:27
『DAYBREAK'S BELL』472
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「じゃあ、オレ行って来る」


近所の店までちょっと買い物に行くかのような軽さを態と装って、黒崎は日番谷の傍から離れた。


「お待たせしました」


そのまま山本の許へやって来た黒崎は深々と頭を下げる。


「うム、好いかの?」

「はい」

「うム。溟隊長――」


黒崎が首肯するのを確認した山本は、視線を溟マユリの許へ遣ると共に彼を呼んだ。


「解っているヨ。黒崎一護、貴様ハその円の中に立ち給エ――アァ、くれぐれも文字を消すんじゃないヨ」

「こう、ですか?」


溟に言われるが儘、黒崎は複雑な文様が描かれた陣の中心へ立つ。


「デハ、始めルヨ」


彼の声を合図に技術開発局の局員等が次々に機械を操作し始めていく。
暫くすると、黒崎を囲む陣が淡く光り出し、と同時に黒崎の身体が足許からゆっくりと光に溶け込むように象を喪くしていった。


「くろさきっ!」


悲痛な声を上げ日番谷が堪らず彼の許へ駆け寄ろうとするのを、日番谷に一番近くに居た浮竹が肩を掴んで止める。
既に黒崎の身体は胸の辺りまで消えていた。


「冬獅郎――」


ゆっくりと黒崎が日番谷の方を向いて、微笑んだ。
其れは、日番谷ですら見た事が無い、彼の穏やかな笑みで。

そして黒崎は日番谷に向けて何かを告げるように、ぱくぱくと口だけを動かした。


「―――――っ!!」


最後の一言を言い終えたところで、黒崎の姿は彼等から完全に消えたのであった。





続く

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