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□少年は、繋がる
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執務室に向かう途中、日番谷は四番隊へと寄った。藍染との闘いで傷つき未だ意識不明の雛森桃を見舞う為に。
眠っている雛森の顔を見ながら、日番谷は今朝見た夢を思い出していた。
(何で今頃…あんな夢…)
それは日番谷が未だ副隊長だった頃、一人の席官を連れて現世に赴いた。虚自体はそれ程手強くなかったのだが、一瞬の隙を突かれ日番谷へ虚が襲い掛かって来た時、その瞬間席官が身を盾にし日番谷を庇ったのだ。
結局虚は日番谷が倒したものの、その席官は還らぬ人となった。
(そういえば、あの時からか。他人と一線を引くようになったのは)
「どうして俺はこうなのだろうな、雛森」
あの時から自分は護られる立場ではなく誰かを護れる立場になろうと、護られて誰かが傷つく位なら――“独り”で居ようと決めた。
なのに――
思い浮かぶのは、オレンジの輝き――
黒崎一護は“あの一件”以来本当に姿を見せなくなった。
最初は清々していたのだ。これで自分の中に燻り続ける苛立ちから解放されると。
しかしそれは束の間で、すぐに姿を見せない事に余計に苛立ちと同時に不安を感じ、仕事が手につかない――気付けば目が姿を追い頭は彼の事で一杯で……
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