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□少年は、甘える
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その日、瀞霊廷内はちょっとした珍事に見舞われていた。
いつも締切には余裕を持って書類を届け、その書類には些細なミスも無いという処理能力の高さには定評のある十番隊からの書類が届かないのだ。
否、
緊急を要する書類はきっちり届けられていた。
が、これまた珍しい事に書類を届けているのは几帳面で生真面目な十番隊に居ながら、ズボラでサボリ魔と噂されている副隊長松本乱菊だった。
「珍しいのう。松本副隊長が持って来るとは。日番谷隊長は今日はどうしたのかの?」
総隊長の山本元柳斎が尋ねる。松本は作り笑いを浮かべ、
「ええ〜、ちょっと。今日は体調を悪くしてまして〜〜」
と語尾を濁しつつ答えた。
「ほおぉ〜〜、それはいかんのう。時間が空いたら見舞いにでも行こうかのう」
山本のこの言葉に(来なくていいわ)と腹の中で悪態を吐きつつ、
「いえいえ〜、総隊長殿のお手を煩わせる程では〜。そのお気持ちだけで結構ですわ〜」
じゃ、失礼しますと、やはりあからさまな作り笑いを浮かべて一番隊を早々に退出すると、はぁ〜〜と溜息を吐き瞬歩で十番隊へと戻った。
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