NOVEL1

□肝試し5の令状
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令状2.恐がる人には徹底的に脅す事。






「いいか?今年は今までとコースが違うからな。じゃあ今からルールを話すからよく聞いておけ」


レギュラー陣だけが残った食堂。
クリスが全員の前に立った。

1年トリオは固まり、その中でも頭ひとつ飛び抜けて恐怖という表情をしていたのは、栄純のみ。



「…お前、スゲー顔してんぞ?」

「ひゃうっ!」


奇声(それもやけに高音)を発せられ、声をかけた張本人である御幸の体が跳ねた。
意外な声色にシン、と静まりかえった室内。

クリスが咳払いをすれば元通りになったが、部員たちの頭にはルールなんて入るはずもなかった。



「みみ御幸のアホー!」


当然ながら小声になる栄純の目尻にはうっすらと涙が浮かんでいて、ぎょっと目を丸くする御幸。


「…お前、本気で怖いわけ?」

「ああ当たり前だろっ!?」


わなわなと震える手。
ふむ。と考え込む仕草をして、御幸は栄純から見えない角度で口角をつり上げる。



「じゃあそんな沢村に良いこと教えといてやるよ」

「え……」



その会話が繰り広げられる隣で春市は、はぁと盛大なため息を吐いた。

だめだよ、栄純くん。
あの目はいじめて楽しもうとしている目だ!

言い出せない自分に情けないと思いつつ、栄純に心の中で謝るとクリスの説明に耳を傾けた。



「で、良いことってなんだよ?」

「倉持から今年のルールは亮介さんが決めたって聞いただろ?」

「……ん」

「それがな、ホントに出るんだってよ。───コースに入ってる墓場にさ」

「〜〜〜〜っ!?」

「しかも見た奴は魂とられるんだってよ?」



ぶわわ、と吹き出した涙を栄純は手の甲で拭い、そのまま耳を押さえる。
そして、春市と降谷の後ろに隠れた。



「はっはっは、精々会わねぇように気をつけねぇとな!」

「御幸。沢村をからかうのもいい加減やめとけ」

「了解っす。クリス先輩」


御幸のふざけた話を一刀両断したクリスは、耳を力いっぱいに押さえている栄純の手を優しく取った。



「沢村、さっきのは嘘だからな。」

「うそ…?」

「ああ。…お前、本当にこういうのがダメなら出なくて良いんだぞ?」

「いえっ!そんなクリス先輩の手を煩わせるようなことはしません!」

「そうか?」



本当に大丈夫なのだろうか。と疑っていたクリスだったが、その顔に観念し、やりたくないなら早めに言えと念をおして、ホワイトボードの前に戻った。







さぁ。楽しい楽しい肝試しの時間だ────






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