NOVEL1
□不安定ラブロマンス
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「沢村……」
「…………」
「なぁ、栄純」
「〜〜〜〜っ!」
御幸は栄純を覆っていた布団を取る。
暑かったのか(当然だ)うっすらと汗をかいていて、且つはらはらと涙と流していた。
しかし栄純は、久しぶりの彼の声による自分の名前に胸が高鳴ていた。
「…ごめんな。お前が辛い思いをするのはわかってたんだけど…俺にはこれしか思い付かなくて…」
「別に……っ」
「悪かった…」
辛そうに眉を寄せて、そう呟く御幸を初めて見た栄純は、彼が悪いことをしたわけではないのにとてつもなく悲しくなった。
何故か自分が御幸にこんな表情をさせて居ることに罪悪感を感じた。
「御幸………」
「ん?」
「御幸、」
「………」
「…………か、ずや」
「栄純」
尚もはらはらと涙を流しながらも、はにかむように微笑む栄純。
御幸はその腕を取り、自分のほうへ引っ張る。
「っはー…!やっぱり我慢するもんじゃねぇな…」
きゅうきゅうと栄純の体温を確かめるように抱く御幸。
その心地よさに微睡む栄純はゆっくりと御幸の背中に腕を回した。
「俺、馬鹿だったな。女の子達にちゃんと言えばよかったんだ。“俺は沢村栄純が好きだ”って。“だから栄純に何かしたら俺が許さない”ってさ。」
「そんな恥ずかしいこと…っ!」
「恥ずかしくないよ。俺が栄純のこと愛してるのは事実だもんよ」
そう言ってかっこよく笑った御幸を見て、赤面する栄純は自分の顔を隠すように彼の胸に押し付ける。
「好き、大好き……愛してるよ、栄純」
ほんとはそんな言葉じゃ収まりきらないくらい────
俺はいつまでも不安定にふらふらし続けるけど。
アンタが
お前が
そばに居てくれたら、バランス良くなって安定するんだよ。
だからずっと傍に。
御沢+倉だと言い張りたい。