NOVEL1
□ボールに込めた想い
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「っわ!」
「伝わったぜ?お前の気持ち」
「!?」
栄純が御幸の顔を見ないように下を見ていたことが仇になった。
彼が自分に近づいているのに気付かず、一瞬のうちに腕を引かれ、気付いた時には目の前に御幸の胸があったのだ。
「せんぱっ…!?」
「お前かわいすぎ…」
「ちょ……意味わかんないっすよ、何で!?」
「だってお前、今、ボールに何か込めただろ?あれ、ちゃんと伝わったぜ?」
理解するのに数秒を要したのか、耳から首筋まで真っ赤にさせて、恥ずかしそうにきゅうと目を瞑った。そして呟く。
「…御幸は気持ち悪いって思うのかよ」
「何が?」
「っ……俺がっアンタのこと好きだって言ったら」
「思わないよ」
「え…!?」
途端、栄純の背中に回していた腕に力を込める御幸。それは腕の中の愛し子を離さないようにきついものだったが、何故か相対してふんわりと包み込むように優しかった。
「だって特別なキモチを持ってなきゃ、単なる後輩にこんなことしないだろ?マジで鈍感すぎるよ、お前」
「っっ!………ふ、」
いつもと違い、愛が通じた相手のその声は栄純の心を刺激するのには十分すぎた。
大きな瞳から流れる滴は次第にたくさんの筋を作っていく。
御幸は口唇を目尻に寄せて、それを舐めとると順々に這わせて場所を移していく。
目尻、こめかみ、頬、鼻、そして最後に震える口唇にバードキスを残して。
「俺も好きだよ、栄純。だから、もう一回好きって言って?」
「っ…わか、りきってること、聞く、な」
「ん、でもやっぱり栄純の口から聞きたいし…」
「なっ…!───……好、き………です」
「俺も、愛してるよ…」
ほんとは俺もキャッチボールしようって言おうとしたんだぜ、栄純。
それも告白もお前のほうが早かったな。
俺から言ったほうがかっこよかったのに。
ったく良い意味で期待を裏切ってくれるよな、お前は。
ま、そういうところも大好きだけど。
それから遅めの風呂と夕飯。
倉持の計らいでヤツと増子さんは他のところで就寝。
結果俺は栄純を美味しくいただくことになり、狭いベッドの中で愛を確かめあった。
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