NOVEL1

□一夏ロマンス
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「ベストタイミングつーかバッドタイミングつーか…。」


品川は先程購入した焼きそばをコーラで流し込んでから、あのタイミングで入ってきた足立にわざと嫌味に聞こえるように言った。


「で、品川くんと和泉くんはあそこで一体何をしていたんですか?」


くいっとメガネのブリッジを指であげて、品川の言葉もスルーして足立が2人に問う。
それに2人と、そして何故か千葉も目が泳いだ。


「っただ和泉の顔に虫がついてて、それをとろうとしただけだ!」


な、和泉!とでも言いたげに品川が話を合わせろと眼力で言う。


「そそそうに決まってんだろ、足立花!」


奇妙な2人の様子に千葉(彼は品川と和泉の関係に気付いているようだ)は、滑稽だとほくそ笑みを浮かべる。
その答えに納得してしまう足立も足立だが、天然すぎるのも考えものだ。


「で、この後花火があるんだろ?品川」


姫路が絵の具をぶちまけたようなダークブルーの空を仰ぐ。
雲は視界に数えるほどしかなく無数の星は煌めく。花火をするにはもってこいの気候だ。しかし、夏独特のむっとする空気は変わらない。


「ああ。たぶんもうすぐ───」



ドォン………!

ドドォン………!



ダークブルーの植木鉢に花火という名の花が頭上に咲き誇った。
千葉が腕時計で時刻を確認する。


「もう6時30分だ。早くよく見えるところに移動しようか」

「そうだな」


早く行きましょう!と再び足立が姫路の手を引く。
また迷子になってしまうと困ると千葉が慌てて追いかけた。


「ったく仕方がねぇ奴等だ…」


和泉も苦笑した。
昔はこんな日常風景が非日常過ぎたから、自分がここにいることに馴染んでいるのが不思議でたまらなかったのだ。

そして後ろから和泉を見ていた品川もまた口元をつり上げた。


「和泉」

「あ?」


品川は和泉の肩に腕をまわし、さりげなく引き寄せる。


「さっきできなかったからな」

「な─────」


何を言っているんだ、そう言おうとして目の前が品川で遮られた。

和泉のそれと品川のそれが触れた瞬間、地をも揺らす乾いた音とともに花火が上がる。

すぐに離れた唇はすぐ消えた花火と同様、少しだけ儚いような気がした。



「また来ような」

「もう二度と来ねえ!」



顔が赤くなったのはコイツにはわからねぇだろう。

品川に手を握られたのも、それを拒まなかったのも、


今は、この暗さと花火の明るさが火照りを消してくれるから。











原作でも生徒会メンバー+マコトで夏祭りに行けばいいのにと思います。

お題元:にやり

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