NOVEL3

□可愛すぎるからきみはダメなんだ
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鍵を開けて、いきおいよくバン! といったドア。廊下に出ると遠くでバタバタと生徒が慌てた様子で走っていた。


「先輩は!?」

「俺は次化学。この下の階の一番端」

「ずりい! あ゙〜っ! 教科書取りに行ったら間に合わねえ!」

「美術なんざ教科書必要なくね?」

「あの先生、検査するんすよ! しかも成績に関わるとかで!」

「ああ、あのタバコ臭えのか。ま、頑張れ」

「愛がこもってねえ!」


だって俺が愛をこめんのは別のときだもんよ。と言ってやると、いくぶんか収まっていた赤みが復活した。


「つか、しゃべってる暇あったら、さっさと行ってこいよ」

「〜〜っ! 先輩のばかあああ!」


はいはい。言ってろばーか。
俺はヒラヒラと手で「行ってこい」と促した。
しかし、沢村は一向に行こうとせず、その場に立っていた。
今までの態度はなんだったんだ?


「どうしたんだよ」

「先輩は、さっき嫉妬したんすよね?」

「……おう」


中学んときの国語辞書を思い出すほどにな!


「もう、そんなこと心配いらねえっすから」

「はぁ?」

「だって俺、先輩じゃねえと“ああいう声”出ねえっすから!」

「──っ!?」


そのときの沢村が──ムカつくほどにかわいくて。
他のヤロウに触られてたときの苛立ちなんか、場外ホームランの如く俺の外に出て行ってしまう。

ニコニコしている沢村は、毒だ。
心臓が過剰に血を送りすぎて、死にそうになった。






そのあと結局、仲良く授業に遅刻する羽目になるとは、このときはまだ知らなかった。












3周年企画に参加してくださった椿様へ捧げます!大変遅くなりまして、本当に申し訳ありませんでした!

「高校生倉沢で嫉妬→甘々」とのリクエストでしたが、いかがだったでしょうか!めちゃくちゃ不安です……。
倉沢で嫉妬、ということで「嫉妬ってなんだ!」と悩みつつ書かせていただきました。

教室で栄純とふざけあっていた子は、たぶん謎の寒気がしたでしょう(笑)

さてさて、今回は企画に参加してくださり、本当にありがとうございました◎
椿様のみお持ち帰りオッケーなので、お好きなようにさてください!

それでは改めまして、リクエストありがとうございました!今後もよろしくお願いいたしますm(__)m


題名はアメジスト少年さまよりお借りしました!

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