NOVEL2

□──さぁ、遅刻を覚悟しろ
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Dolce Love Song!
(甘く柔らかに愛唄!)

───Let's go to school!


勢い良く家(金森家)を出たのは良いが、途中でどうせ間に合わないなら走ったって無駄。と思った2人は結局のたりくらりと歩くことに。

そしてようやく学校が見えてきました。


「あ、そういえば月曜の1限って体育じゃん。うわー損した」

「でも今日はオリエンテーションって益岡ちゃんが言ってたでしょ、」


だから運動自体はしないよ?
と央人が苦笑する。
益岡とは体育教師のことで響たちが通う高校の中では若いせいもあるのかその呼び名で親しまれている。
ちなみに彼らのクラスの担任でもある。


「あー記憶がねぇな…そんなのいつ言ってた?」

「先週の帰りのSHRで。確か、その時間寝てたから気付かなかったんだよ」

「元はと言えばテメーが前の夜に………っ」


顔を真っ赤にさせた響がキッと央人を睨む。
しかし、その央人はにんまりと満足そうに笑う。
間近で見た響は悪寒が走り、咄嗟に歩き出した。


「元はと言えば、……その続きは?ねー響?」

「うるせーっ!」

「寝かせなかったのは俺のせい?」

「そうだろっ馬鹿!」

「だってあの時の響、頬をこう赤くさせて涙いっぱい溜めて「も、……イくっ」とか言うもんだから俺、本気でやばかっゴフッ!」

「1ヶ月ヤるの禁止な」


え、と鳩尾に響の肘が入った央人が声をもらしたがそんなの気にすることなく、響は校門を潜った。

そして正気に戻った央人が後ろから慌てて追いかけてくる。



「すみませんでしたごめんなさい1ヶ月は無理です殺す気ですか」

「…………勝手に死ね」

「もうそういうこと言わないから!約束する!」

「……………」



響は必死に謝る央人をじ、と見る。
とたんにはぁとため息を吐いて彼のブレザーの裾を掴んだ。
これが響なりのお許しの合図。



「央人、走るぞ!」

「えー体力的に無理なんですけど、響サン」

「俺を怒らせた罰だっつーの。さぁ走れ!」

「うぃーす」




渋々足を動かしながらも央人はちらりと響のうなじを覗く。

そこに咲く赤い痕。

紛れもない昨夜の痕跡。

付けられた本人は気付いていない。







教室で響が絶叫するまであと数分。

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