NOVEL1
□君を置いては逝かないから
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当サイト比ですがほんの少しキス以上のシーン有りです。苦手な方は回れ右。
大好きだよ
大好きだよ
“俺”と“俺以外”だったセカイに光が射し込んだ
大好きだよ
大好きだよ
くすぐったい。
さわさわと流れる風は俺の髪で遊んでいるようで、いちいち頬やら首筋やらに触ってこそばゆい。
(ん…………?)
瞼を開けずに意識だけを覚醒させる。ゆらりと揺れる行灯の火がすぐ傍にあるとわかった。
さわさわ、
さわさわ、
鴇時の髪がまたそよぐ。
その風によって運ばれてきた香りに思わずドキリ、とした。
(しの、のめ?)
なんで煙管の香りが?
そうだ。
可笑しい。
普通の自然な風ならば、こんな一定に入り込んでくるはずがない。
誰かが団扇で扇いでいてくれない限り。
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