NOVEL1

□一夏ロマンス
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「…お前のせいだろ」

「いや、違うな。テメェがふらふらしてやがるから…!」


…ったくどうしてくれるんだ。
和泉は足元にあった石に腰をおろして灰色に染まった息を吐く。肺の中に入ったタバコの煙が環を描いて、ふわりと宙に浮く。

かれこれ足立(祭りに行こうと誘った張本人)を探して30分ほど。

紋白高校生徒会長は神社に着いて早々姫路の手を引っ張り、ずんずんと出店が並ぶ参道を進んでいった。

もちろん彼ら−品川・千葉・和泉−もそれについて、はぐれないように歩くスピードを早める。

しかし案の定途中で足立の姿は忽然と消えてしまったのだ。

姫路がリンゴ飴に惹かれ、足立が綿あめに惹かれ、じゃあ買ったらちょうどその2つの出店の中間地点である御神木の前で会うと決めた。
購入してそれから姫路が先についたが15分経っても足立が姿を現さない!

と連絡がきたのが30分前。
千葉は姫路がいる御神木のところまで行ってくると言い、ついさっき人波を掻き分けていった。(それでもあの身長は目立ち、頭1つ分ほど飛び出ていた。ある意味目印だと思うが)

そして今。
姫路を見つけ、ここから2人で足立を探すと千葉から連絡をもらった品川と和泉は、仕方ないから自分達も探そうと歩き出した。



のだが。





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