NOVEL1

□──He is beautiful person
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Dolce Love Song!
(甘く柔らかに愛唄!)

───He is beautiful person



「ったく律め…幼なじみを置いてくなんて最低なヤツだな!」


中庭にどどんと生えている巨木。
その下で頭を掻きながらひとりごちる。
新倉響はため息を吐いた。
幼なじみの坊主は『お前が遅いから悪いんだろ。先に体育館に行ってるから、せいぜい笑い者にならないように入ってこいよ。』と笑いを含み、響が遅れてくることを前提に言って電話を切った。


腹が立って太い幹を蹴ろうと思ったが、鮮やかに咲き誇る桃色の花びらを見てその気は失せた。


(お前だってここまで太くなるのに何十年もかかってんだ……蹴っちゃ悪ィよな)



開式まであと7分ぐらい。
もうこのままサボってしまおうか。
そういえば『サボる』の『サボ』は『サボダージュ』からきてるんだよなぁと関係ないことを思っていると、横目に入ったのは





金色───────





真新しいぱりぱりの制服に身を包んでいるのだから、自分と同じ新入生だろう。周りをきょろきょろしているし、彼も迷っているのかもしれない。



それにしても、きれい。

太陽の光が反射して、まるで彼自体が輝いているみたいに見える。身長が高いことも手伝って、まるで外国人モデルのような雰囲気さえ感じられた。

地毛かな、と目を凝らせばそもそも彼の髪は金色ではなく赤茶だとわかった。



声をかけようと思ったのは、単なる好奇心とかじゃなくて。あんなきれいな人だからどんな声をしてるんだろうとか、どんな風に笑うんだろうとか。そんなことを柄にもなく思った。



そんな俺の気持ちが通じたのかもしれない。
かち合う視線。


自然に、言葉が出ていた。




「アンタ、新入生?」


彼は目を点にして響を見据える。微かに頬が赤くなったのには本人しか気付かなかった。


「────そうだけど」

「良かったぁ…俺、ぶっちゃけ迷っちゃっててよ。待ち合わせしてた幼なじみも先に行きやがるし…一緒に行こうぜ、体育館」

「あ…………うん」


思ったよりすんなり言葉が出てきた。
早口すぎたかな?
彼は赤茶のそれを、花びらをも散らす風に揺らして肯定した。


うし、と心の中でガッツポーズする。
そして響は携帯のサブディスプレイの時計を見て、ゲ!と顔色を青くした。



「おい、行くぞ!」

「え?」

「ボケっとしてんな!あと5分で入学式始まっちまうだろ!走れよ」


こんなんじゃ律の言う通りになっちまう。
あーっ!もうアイツの嫌味に笑う顔が容易に想像できて、それがまたむかつく!

俺は俺よりも一回り以上でかいコイツの腕を引く。ボサッとしてると絶対間に合わねぇ。
相手のペースも考えずに地面を蹴った。



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