NOVEL1

□Kiss you
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…神様仏様野球の神様。
ああ、どっちでもいいから誰か助けてください!!

俺の大好きな子が俺の目の前ではらはらと涙を流しています。


どうしたら良いですか……っ?







Kiss you








夜。
時刻はわからない。
けれど月がきれいにあがった空が広がっていた。

栄純のシャドウピッチングを見てから2人で素振りをした。

汗を吸ったTシャツは適度に重い。
体調を考えて、部室に戻って着替えようとした。

しかしその若さ特有(いっこしか変わらないけど)の色気とでも言うのだろうか。
目眩に似た感じの症状に襲われた。

背中から抱きつけば栄純はびくりと肩を揺らした。

そんな初々しさもこの後輩の魅力。

くすりと笑って、キスしようと顎を指でつつ、と上げていく。


しかし、問題が起きた。


事の原因はたぶん俺だよな?
それは十分自覚してる。つもり。


でもなんで泣いてんのさ、栄純!?



「ふ、ざけ…な…っ」

「別にふざけてなんかないよ。…つーかなんで泣いてんの?」

「…──てめっ!」

「俺が、キスしようとしたから?」

「〜〜っっ!」



あらら。
真っ赤になっちゃった。
でもなんで?
本当にわからない。
栄純と俺は付き合ってて、俗にいう恋人同士で。
キスをしても良い関係でしょ?




「…栄純、」

「ひっく……!うぅ〜〜」

「ね、栄純。こっち向いてよ…」



じゃないとどうかしそうだ───




「俺のこと嫌いになったの?」


首を振る。
涙の滴が宙にとんだ。


「じゃあ好きな奴でも出来た?」


そんなことないと思うけど。
自惚れかもしれないが栄純は俺に惚れてることには自信がある。

するとまた首を振った。


とりあえずはひと安心。





ってじゃあ原因は何な訳!?





「ね、栄純。言わないとわかんないよ。なんで泣くの?」

「だっ、て倉持せんぱ、がっ………」

「……………───倉持が何?」





ごめん、嫌な予感がしてきたんだけど。







「御幸と、キ、スしたら………ここ、子供ができるって…」








倉持ィィィ!






「俺っ!おとこなのにっ!まだ野球したいのにっ!」

「………栄純」

「ず、っとみゆきと居たいけど…っっ!」

「えーじゅーん!」

「…う?」

「それ嘘だから。」

「─────は」

「お前、純粋だから信じちまうんだよな。倉持が言ったことは全部嘘だっつの!」

「うそ…?」




そうだ。
当たり前だろ、そんなこと。
冗談でしか言わねーよ、今時さ。



瞬間、ぶわわわって栄純の顔が赤に染まった。
そして、へにゃへにゃと力が抜けて膝を床に付いてしまう。


ったく倉持のヤツめ。
あとで亮介さんに言いつけてやる。




「純粋なのもかわいいけど、もうちょい色んなこと考えような?」

「…ごめんなさい」

「じゃ、して良い?」

「……ん」


壁に背中を預ける栄純の細い腰に右腕を、そして左腕は体重を預けるように壁に置いた。


最初は啄むような優しい口づけ。
次第に深くなっていって、離したときには栄純の口端からはどちらともとれない唾液が伝う。




「んーでも栄純と俺の子供なら欲しいかも」

「な゙!?」

「シまくったらできるかな?」

「できません!」





でも栄純、言ったよね?



「ず、っとみゆきと居たいけど…っっ!」



大丈夫。
安心しろよ。
子供なんてできなくてもお前の隣に居るのは一生俺だからさ。








はい、ギャグ落ち!
やらかしてくれましたよ、倉持さんが!
もちろんこのあと栄純を弟のように溺愛してる亮介さんに呼び出し食らいますよ!




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