NOVEL3

□スイートハートメロディア
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lalala...
さあ 一緒に歌いましょ
敵も味方も関係ありません
手を取り合い 声高らかに

lalala...
この日にあなたに会えたこと
とてもうれしく思います!
最初で最後かもしれませんが
今宵は口ずさんでみてはどうですか?

lalala...
アンニュイな日々に
退屈してる人はいませんか?
そんときは僕らと声を合わせて
ニコニコ笑いましょ!



思い出すように口ずさむと自然に体が揺れた。
ここでファンがのりやすいようにメンバーの「せーの!」と掛け声が入る。



(せーの!)

モヤモヤした昨日にサヨウナラ
キラキラした今日の幕開けに口づけおとし
深呼吸して一歩前進!
飛び出せFly High!



「はー……なんか懐かしいかも。」

「これならたぶん使えるし、曲調も明るくて栄純っぽいからいいね」

「俺っぽいってなんだよ!?」

「ん〜、明るくて可愛いってことです」

「……なんだそれ」

「そのまんまの意味」


一也のニヤーっとした笑みに眉を寄せて無言で応える。
そして、隣の彼の手にあった楽譜をピッと抜き取ると、


「ったく、もうクリス先輩のところ行ってくる!」


と、今にも走り出して飛び出して行きそうな感じだったので、一也はまあ待て待てと栄純が着ていたパーカーの裾を掴む。くん、っと引っ張られたそれによって軽く首が絞められ、栄純から「ぐえっ」とカエルが潰れたような声(ただ実際に聞いたことはない)が聞こえた。


「んだよ、一也」

「明日でいいじゃん」

「何で」

「何かムラムラしてきた」

「はあ!?」


な、何言ってんだコイツ!
というかさっきまでの展開でどこにムラムラする要素があったのかわからん!
パーカーの裾を掴んでいた手を離し、栄純の細い腰に腕を回した。そのままグイっと引き寄せる。一瞬宙に浮いたかと思うと、一也のあぐらの上に着地した。


「ちょ……!」

「はー、あったけえ……。さすが子ども体温」

「うるさい! 離せ!」

「やです」


一也は目の前に晒されている白いうなじに、ちゅうっと吸いつく。その場所の近くにいつかの情事中につけた紅痕の治りかけがあったからである。電撃が走る栄純の身体にふふ、と笑うと、クッションの上に転がっていたDVDデッキのリモコンを取り、ライヴDVDを再生した。
さっきまでじたばたとしていた栄純は


「『キラキラ』の歌詞のとおりでさ」

「ん〜?」


最早諦めた様子で返事をした。この男がこうなってしまったら、何を言っても聞かないのは高校の時からこれでもか! というほどによぉぉーーくわかっているのだ。

これは単なる思い付きの提案だし、もしかしたら今日寝たらその気持ちは薄れるかもしれない。だからクリス先輩のところに行くのは明日でもいいかー。なんて、こう思っている時点でダメなのかもしれない。

だけど、一也の腕の中は気持ちよくて、ふわふわとした気分になる。


「キラキラした今日の幕開けに口づけおとし♪」

「っ〜〜!」


一也がそう口ずさんだ瞬間、栄純の顎を後ろから上に向かせて「んーっ」と唇と唇を押し付ける幼稚なキスをした。


「今、夜だけどね」

「もうやだコイツ!」


げえ!っと栄純は眉を寄せる。しかし一也はもう慣れっこなのか「だけど好きだろ?」とニヒヒと笑って見せた。うぬぬ、と何も答えられない栄純は、バサッと楽譜をローテーブルに置いて、仕方なく一也の隣に戻った。
ただ一也は歌詞に便乗してキスしたかっただけらしい。


「俺は定番曲がほしいだけなんだよ!」

「はいはい、わかったから。俺からもクリスさんに言ってやるから」


横からギューっと抱きしめると、顔は真っ赤にしているけれど身体は正直だ。(いや、単にドキドキしているだけである)恐る恐ると自分の腰に回された腕にそっと添えた。








翌日。起きて早々にクリスの部屋に突入した栄純は、朝食を作っていた彼の背中に抱きついて「クリス先輩! 俺、ほしいです!」と言って、普段冷静なクリスを朝から混乱させたとか。
あとにも先にもクリスに「うぐっ……」と言わせたのは、栄純ぐらいだな……と、追いかけてきた一也は思うのであった。











3周年企画に参加してくださったメロウさまへ捧げます!「バンドパロ御沢で歌詞を交えて甘々」というリクエストでしたが、大変遅くなって申し訳ありません!

定番曲がほしい栄純でしたが、いかがだったでしょうか……(ガタブル)。
『キラキラ』は前から私が考えていた歌詞でした。もちろん最後のアンコール曲としてです^^
今回はそれが生まれたときの話ということで!書かせていただきました!

も、もしかしたらーなんですが、本編で栄純たちが歌うことになるかもしれませんが……、いいですか?←

今回は企画へ参加してくださりありがとうございました!煮るなり焼くなりぽいっとするなり、メロウさまにお任せいたしますっ^^

それでは、改めましてリクエストありがとうございました!



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