Witch

□孤愁ポラリティ
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昨晩から、もういくつの咳をしたのだろう。
夕食後に咳止めを飲んでも効きが良くなく、咳き込みながらようやく眠ったものの、朝になっても治まる気配はなかった。
同室のお菊ちゃんは彼氏との逢引で私が眠ってから戻ったので、迷惑をかけることはなかった。
だけど朝、ひゅうひゅうと喉を鳴らす私を見かね、女中頭には伝えておくから今日は休むよう言った。頷くしかなかった。


顔の半分まで布団に潜り、胎内にいる赤子のようにうずくまった。その中でこんこんと咳をすると、吐いた息の熱がこもって背中をじっとりと濡らした。


「相変わらずだな」


わずかな隙間から布団の外を見る。呆れた顔があぐらをかいた脚に頬杖をついて、私を見下ろしていた。


「ぬしさまがいらっしゃると思っていました」
「ほう。なぜだ」
「からすたちが教えてくれました」


あいつら余計なことを。彼はわずかに顔をしかめた。


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