Sodapop

□はじめまして、俺
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 ズッ……ズズッ。

 感覚などとうに失い、ただの枷と成り変わった片脚を引き摺り、ゆらゆらと歩を進む身体がひとつ。

 「は…はぁッ」

 顎からは、血と汗が交ざったものが、ぽたりぽたりと滴る。それはまるで体力の消費を比喩しているかのようであり、地面を濡らすたび、視界は徐々に霞んでゆく。幾度まばたきを繰り返そうとも、それは一向に晴れる気配がない。

 「ッ……」

 さも悔しげに歯を食いしばる。だが、これがぼろぼろの身体に最後に残った力であった。
 急に全身に迸っていた強張りは解かれ、膝からくずおれて、派手に転がる身体。とうとう、ぴくりとも動かなくなった脚。

 闇に誘われるがまま、怪我人は、意識を手放した。



『初めまして、俺』




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