Sodapop
□遅刻ヒーロー
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「紫紺、これちょっと持っててくれ」
「あ、はい」
「重てえからな」
「はい」
『遅刻ヒーロー』
頭上に雲が厚く広がり、所々に針で穴を開けたような隙間から僅かにのぞく青。
ぼんやりと雲越しに地を照らす太陽にやる気を奪われそうになりながら、仕事を淡々とこなす。
空気は梅雨でもないのになんとなくじめじめして、肌に纏わりつく感じが気持ち悪い。
どうも今日は気分が晴れない。
特別いやなこともなかったし、普段となんら変わりはないのに。
かんかんと釘をうつ槌の音も、なぜだか今日はむなしく聞こえた。