Witch
□無知と涙目
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空腹という感覚を知ったときは、絶望を感じた。
秒単位で削がれてゆく気力。滅入る気持ちと、枷を繋いだように重い脚。
昼下がりの空に浮かぶ太陽に向かって、からすがカアと鳴いた。
それすら自身を馬鹿にしているように聞こえた。ああ、荒んでいるな。と、まるで他人事のように思う。
もうだめだと思ったときには、既に膝が地面についていた。
受け身をとる暇もなく、派手に頭を打つ。
先ほど鳴いたからすがすぐそばに降り立ち、まるで眠ることを阻止するかのように、肩や腕をくちばしで突ついた。
ちくりちくりと肌が痛んだが、からすの努力も虚しく、あっけなく意識は途切れた。