Witch

□見ればやさしや寄れば刺す
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桔梗とは、不思議な女だ。


俺を局長さんと呼ぶ声は幼く、俺につられて作る笑顔はぎこちない。口許が不自然につり上がって、目には戸惑いの色が浮かぶ。
ときどきとんでもないほど世間知らずで、そのくせ、仕事の様子を見に行けば、なんでもそつなくこなす。聞けば経験などないと言う。
身の上話をするときの彼女は、憂いを帯びて、伏目がよく似合って、艶めいていた。

悪い言い方をすれば、感情が欠如して見える。それなのに、多様な顔を見せる。
先日、裏口で大量のからすと黒猫に囲まれた桔梗をみつけた。
なにごとかと尋ねたら「昔から動物に好かれるんです」とへらへらしていた。


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