Witch
□ただしいあそびかた
1ページ/13ページ
その日は、初めての非番だった。
たまにはゆっくりしておいで。昨日女中頭に言われた言葉。
同じ日に非番となった同じ年頃の女中は、デートの約束をしたとはしゃいでいた。
うれしそうだねと言ったら、桔梗ちゃんも彼氏つくりなよ。と、愛らしい笑顔をもらった。
うまく笑えもしない私にそんな相手ができるのだろうか。
返事をする代わりに、いつもの笑顔の真似事をしてみせたのだった。彼女はなんか変、と無邪気に笑った。
とはいえ。
世間での遊び方なんて知るはずがない。
結局いつも通りの時間に起きて、縁側に腰を下ろし、庭を眺めながら緑茶を啜っていた。
「あれ、桔梗。なにしてんだ、こんなとこで」
「あ、局長さん。おはようございます」
彼は私の真似をしているのか、うやうやしく頭を下げて、おはようございますと返す。