Witch

□友人と髪結い
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腕にぶらさげた風呂敷をちらと見ると、かわいらしい桜色がぷらぷら揺れていた。
自身がまとった地味な灰色無地の紬木綿に、それは不釣り合いであるようにも思えた。かまわないと思った。なんといっても、この風呂敷はかわいらしい。
鞄がないと言ったらお菊ちゃんがくれたものだ。

今日は早く仕事が終わったので、細かな買い物をしに町へ出ていた。
いつものように薬を買い、アメニティ用品や消耗品などを買い込んだ。生きるだけで金がかかる。
どんどん飛んでゆく小銭に、価値観がわからなくなる。こんなものなのだろうか。

ちいさな雑貨を詰め込んだ風呂敷は、ぷっくり太ってしまった。それを見て、買いすぎたかと今更思う。


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