Short story
□ジーザス!ジーザス!
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「ぶえくしょんッッッ!!!」
暖房器具がまともに買えない万事屋の社長は、他人の迷惑もお構いなしに沢山の唾を部屋の真ん中にある机に飛ばした。
それを目の前でお茶をすする助手が軽蔑の声をあげる。
「銀さん。汚いから手ェあてて下さい」
静かに、されど笑顔で。それがまるで「極道の妻ですけど、何か?」に出てきた女優ばりなので、くしゃみをした張本人は少したじろぐ。
「…さっ、寒ィもんは寒ィしな。出ちまうもんは仕方ねェしな…」
と、相変わらず冷たい笑顔を送る本人に気遣うように、少し苦笑いで何か良い案はないかと虎空を眺める。しかしすぐに、思いついた、という真面目で明るい顔つきをする。
「新八があっためてくれればいいんじゃね?」
その言葉の意味を少なからず読み取った新八は、すばやく机に置いてあったせんべいを一枚銀時のあごに投げ付けた。
「くぎゅッッッ!!!」
近距離から投げた新八のしょうゆせんべいは見事にストライク。その勢いは不思議とものすごい威力を発揮し、銀時をソファ毎倒れさせる。
「このセクハラ上司ィィィ!お前は一生そこで倒れてろッッッ!!!」