Short story

□永遠の詩
1ページ/6ページ

 15時だというのに、万事屋の居間は電気を点けないと新聞の文字を読むのも困難で、新八は席をゆっくり立ち灯りを点けにいった。外はなんだかいつものかぶき町とは雰囲気が違っていて、とても静かだ。屋根の瓦に次第に強まる雨の音を聞き、それでか、と変に納得する。
 自分の後ろから何か冷たい風が足元を冷やしていくのがわかって振り向くと、先程まで閉まっていた居間の窓が開いていることに気付いた。そこには窓を開けた張本人であろう人間が、自分の仕事場から見える景色をぼーっと眺めていた。
「雨…ですね」
「…あぁ」
 雰囲気が違うのはかぶき町だけではなかったようで。銀時の声がいつものトーンより低いことを察知した新八は、二人を包む空気に少し圧倒され唾をごくりと飲み込んだ。
 雨を見ていると梅雨時期に、俺の髪がァ!とよく嘆いていたことを思い出す。しかし今は季節は秋。湿気ではなく寒気すら感じる季節になってきている。今年の冬は寒いかな?と頭の隅で考えながら、ひたすら雨を見つめる銀時の横顔を眺めた。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ