Short story
□たららん
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「ここで働かせて下さい!」
「千と千尋をネ申が隠した」ばりの勢いで新八がここ万事屋の主人に雇ってもらうよう頭を下げてから数日たった。
「…失敗したかも」
新八は目の前でジャンプを仰向けで読みふける銀時を横目に、自発的に始めた床掃除をしながら溜め息をつく。
雇われるまでは、当たり前だが万事屋の一日のスケジュールなど知らないわけで、お妙を助けてから全くと言っていいほど仕事がこず、いつもこんなもんだァ、と鼻をほじりながら話す銀時に鼻フックをしたことは言うまでもない。
そんなことを自分の脳内劇場で虚しく繰り広げている新八をよそに、銀時は突然読み途中のジャンプを机に置き、
「ちょっくら出かけてくるわァ」
と言う言葉だけを部屋に残し、ふらふらと外へ出ていった。
「えっ?ちょっ…銀さん!?」
銀時を呼び止めようとした手だけがどこにも辿り着けず虚空を彷徨う。
まあちょっとって言ってたからすぐ帰ってくるだろうと踏んだ新八は、銀時が帰ってくるであろう時間までに食事作りを終わらせようと床掃除を進めた。