Short story

□新八にメイド服を与えてみました。
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「銀さん、神楽ちゃん大丈夫ですかね?無事辿り着けるかな?」
 突然変異のように神楽が太ってしまった。更にはお妙、お登勢、キャサリンまでもが同じように肥え、よくよく目をこらして見れば尋常ではないかわりように、銀時も新八もお妙の知る断食道場への入門を賛成せざるを得なかった。
「普段からばかすか食うのがいけねェんだよ。これに懲りてうちの食費が浮けば万万歳だ」
 神楽の重さで抜けた床を修繕し、その上で銀時は新聞を広げどこか他人事のように足の爪を切っている。
 そんな銀時を見下ろしながら新八はこの一週間、昨日得たお金でどうやって生活していこうかソファで家計簿とにらめっこする。昨日仕事があったからと言って今日も依頼がある訳でもないのだ。

 とりあえず姉上もいないから道場に帰る必要がないなァ。電車賃いらないよね。神楽ちゃんもいないから食材もそこまで買わなくていいし………って待てよ。

 ふっとしたことに気付き、手に持っていた鉛筆が音を立てて床に落ちていった。その時、振り返りもせず低く図太い声で銀時は新八にある提案を持ちかける。
「新八君、ゲームしよっか?」
 新八の爪先から頭の先まで悪寒がぞくりと通っていった。嫌な予感とはまさにこのことを言うに違いない、と少年は冷や汗を垂らした。
 ゲームの内容はこうだった。
 銀時が出題する問題に正解したら今日一日銀時が新八の言うことを聞く。不正解すれば逆のことをする。至って単純明快、ありがちでいかがわしいことこの上ないゲームだ。
「なァやろうぜェ」
「誰がそんなんに乗るかァァァ!!!」
 全くもってやる気のない新八は勢い良く怒ったかと思うと呆れて溜め息を銀時に向けて降らすようにつく。阿呆らしいのでかっかするのは止めようと思った。
「なんだよォ。お前が勝ちゃァ今日一日楽出来るぞォ。いつもやってる洗濯も掃除も料理も全部俺に任せられるのによ」
 いい話だと思うんだけどなァ、なんて多分悪魔の囁きなのだが、新八には甘美な誘惑に聞こえてくるのだから、普段どれだけ専業主婦めいたことをさせられているのか、嫌でも実感する。
「わかりました。僕が勝ったら今日一日家のこと全部お願いしますね!」
 新八のかわいそうな一日の始まりであった。

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