Short story

□奏(かなで)
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 居間の時計は18時を指していた。今ならまだ姉上が仕事に行っていないかも、と判断した新八は、万事屋で普段あまり使われることのない電話から自宅へかけてみる。
「………はい、志村ですが」
「姉上!?よかった。まだ仕事に行ってなかったんですね」
 連絡もせず家に帰らなかったこと、昨日と今日で自分の身に何が起きていたのか、けれど自分は健在である、と出来るだけ的確にまとめ電話を切った。
「あいつ、なんだって?」
「最初すごい剣幕でしたけどね、安心したって言ってました」
 想像がつくでしょ?と半ば苦笑いで、いつの間にかいつもの着流しに着替えている銀時を見る。もしかして俺後で殺される?なんて冗談にならないかもしれない台詞を銀時も苦笑しながら返した。二人が軽く笑いあった言葉の後に、僕今日は帰りますね、と新八は付け加える。
 思ってもみなかったことを新八の口から聞かされたので、銀時は目を見張った。
「俺はてっきり疲れてるから泊まっていくと思ってたんだが」
「僕も最初はそうさせてもらおうと思ってたんですけどね。姉上の声聞いたら、朝僕が家にいた方がいいかな、って」

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