HISTORY

□過去拍手寄せ集め
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父親



父の大切な人。
一度か二度会った程度だが、美しい人だった。
「随分、御立派な御子息がいらっしゃるんですね」
その人が父にそう言っていたのは忘れられない。



「……何、伸顕。人の顔をじろじろと」
ほんの少し面影を残す顔を凝視していると、やはり文句を言われた。
「否、お前の父上の事を考えていた」
「父上?どちらの?」
「無論、木戸の方さ」
実父の方は流石に会った事は無い。
「あぁ……君の父上とは色々あったみたいだけどね」
少し苦笑いを含んだその言葉に俺は頷いた。
「二代続けて世話になるな」
「こちらこそ」
そう言って笑った顔は、彼の父親にそっくりだった。






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