OTHER

□切れない糸
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最後に見たアイツの顔は、確かに悲しく笑っていた。



俺が大蛇丸の所へ来てから一年半位経っただろうか。
前より幾分成長した様子のナルトとサクラが俺を見上げていた。
その様子を見ても何の感慨も起こらない。
当たり前だ。
俺から木の葉を捨てたのだから。
全てはイタチへの復讐の為。
――アイツを殺す。
その念は枯れる事無く未だ溢れ出ていた。
が、その時何かが俺の中の線に触れた。
何か、違和感がある。
――何かが、足りない。
俺は眼下に見える光景を一瞥した。
あぁ、そうか。
アイツが居ないのか。
もちろんそれは、今の俺にとってどうでも良い事で。
――どうでも良い事の筈なのに。
どうでも良い事でなければならない筈なのに。
何故か俺の口は勝手に言葉を紡いでいた。
上辺はさして興味がなさそうに。
まるで序でに聞いたかのように。

「なら、カカシもいるのか?」

俺は……
俺は。
アイツの姿が此処にあることを望んでいたのかもしれない。
『サスケ』
唯一断ち切れなかったアイツの声が俺の耳に響いた。












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