OTHER

□堕落
1ページ/1ページ

びしゃ、と返り血が血の気の無い肌に飛び散るのをオイラは唯眺めていた。
「……クク……」
鮮血より赤い髪を少し揺らして眼前の男は笑う。
唇に表れるは、狂気。
「旦那……死んだ奴斬ってもつまんねェだろ」
「あぁ?」
亜麻色の瞳が、ちろりとオイラの方に動く。
「つまんねェか否かは俺が決める事だ」
「オイラがつまんねェ、うん」
死体ばっか見てるアンタはつまらない。
血の色を愉しそうに眺めているアンタは、もっと。
「オイラが居んだろ」
「……あ?」
「活きの良いのが目の前に居るだろうが。うん?」
ホラ、――殺してみろよ。
亜麻色の瞳がオイラを完全に映し出す。
「お前は」
見た目とは裏腹に、低い声が唇から紡ぎ出され、
「俺に殺されてぇのか?」
「そうなっても良いかもしれない」
そう答えるオイラの唇にも狂気が表れていたんだろう。
「あァ……良いな、ソレ。じゃあ、」
己の髪の毛と同じ位赤い舌がチロ、と口の周りを舐め。
その後、その舌はオイラの首筋をぺろりと舐め上げた。
「……!!」
ぞわ、と鳥肌が立つ感覚。
そんなオイラを見て、アンタはニヤリと笑った。
「何時か……お前を殺して、俺のコレクションに入れてやるよ」



オイラがアンタのコレクションになって、それで永遠に共に居られるなら。
――それでも良いと思ってしまったオイラは、どうやら堕ちる所まで堕ちた様だ。












[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ